巨人にFA移籍の井納を直撃「結果を出し続けるしかない」
井納翔一(巨人・投手 34歳)
DeNAからFA移籍した9年目右腕が、初めての巨人キャンプで順調に調整を行っている。昨16日は一軍の本隊とS班が合体し、「一軍」として沖縄・那覇キャンプがスタート。練習前の円陣で挨拶を行った。
先週13日には2日連続でブルペンに入り、キャンプ最多の111球を投げるなど精力的な一方、この日はサンチェス、今村、戸郷、畠、横川、高橋ら14人がブルペン入り。エースの菅野がこのオフのメジャー移籍を断念し残留を決めるなど、開幕ローテーション争いは激しさを増している。34歳の“オールドルーキー”を直撃した。
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――13日に111球を投げた。DeNA時代と比べるとハイペースなのでは?
「いやいや、そんなことはありません。ベイスターズではこの2年間(春のキャンプ)はファーム(二軍)スタート。その時の二軍投手コーチの大家さんから『キャッチボールは40メートルまで。上体が上に行かず、自分のフォームでしっかり投げられるのが、だいたいそれくらいの距離だから』と言われ、ピッチングも30球から多くても40球くらいを守っていました。チームが替わっても、今の段階でのキャッチボールはずっと40メートルで投げています」
――それなのに111球は投げ過ぎでは?
「ベイスターズ時代のシーズンの課題は、球数がどんどん増えた時、後半に球の勢いがなくなってしまうのを感じていた。スタミナをつけないといけないので、そろそろ60~70球投げ込みたいというのはあった。(15日に)一軍も入ってきて、現時点で言われている試合日に合わせて調整していくと、一番多く投げるのに適している日が13日だった。桑田さん(投手チーフコーチ補佐)の方針もあるし、久しぶりに100球以上投げたいというのがありました」
強いチームでやりたい
――FA宣言をした際、巨人とヤクルトの争奪戦になった。「ヤクルトと悩んだ」と言っていたが、最終的に巨人入りを決断した理由は?
「原監督に『必要だ』と言っていただいたのは大きかった。巨人のような厳しい環境、強いチームでやりたいと思いました」
――DeNA時代の巨人の印象は?
「巨人と対戦して感じたのは、スキのない野球をやるということ。1試合でひとつのミスも許されない。投手なら、出してはいけないところで四球を出したら、即ファーム行きを命じられるかもしれない。監督、コーチの見方も厳しい。現役で野球をやっている以上、辞めるまでうまくなりたいので」
―――巨人は選手層が厚い。
「今までやってきたことで改めてチャレンジしたい。FAで入団したので、期待していただいている分、競争を勝ち抜いて戦力になれなければ、厳しい評価をされるでしょうし、一軍に残れるほど甘い世界ではありません。特に巨人はそういう厳しさがあるチームだと思っています」
――原監督からは「150~200イニングを投げてもらいたい」と期待されている。
「先発でやらせてもらえるなら、まずは勝つこと。でも、勝ち星は打線にも関係してくる。1イニングでも多く投げて期待に応えたいですね」
――巨人移籍を決断した時は、菅野がポスティングでメジャーに挑戦するという段階だった。さらにブルージェイズの山口が自由契約になり、巨人復帰の可能性も浮上している。先発枠争いが激化しているが、話が違うと思った? プレッシャーは?
「誰が相手だとしても、僕が結果を出し続ければ、監督、コーチに一軍のマウンドに上げてもらえるだろうし、もちろん結果が出なければ、ファームに落ちる。どんな投手が来ても、巨人で投げたい、プレーしたいと決めて移籍してきた。僕は結果を出すしかありません」
■中継ぎでも巨人のため
――DeNA時代に経験がある中継ぎをやって欲しいと言われたら?
「たとえ中継ぎでも、一軍で巨人のために投げるというのが、今回結んでもらった2年契約が終わった時に『来年も』と言ってもらえる理由になると思います」
――目標の数字は?
「規定投球回に達したい。最低143イニングを投げてから、監督が投げて欲しいという150~200イニングを目指していければというのが一番。それができるなら、チームに貢献できている。最低限の仕事はできているということ。そこをクリアできれば、勝ち星もついてきます」
(聞き手=増田和史/日刊ゲンダイ)