巨人大物新助っ人起用に批判噴出!好調若手のチャンス強奪
巨人の新外国人選手、ジャスティン・スモーク内野手(34=前ジャイアンツ)とエリック・テームズ外野手(34=前ナショナルズ)が27日に一軍デビュー。この日のヤクルト戦でスモークは「5番・一塁」、テームズは「6番・左翼」で先発出場し、スモークは右打席で右前打、左打席で右翼フェンス直撃打を放ち、4打数2安打の上々のスタートを切った。
一方、テームズはいきなりアクシデントに見舞われた。三回の守備で“自爆”。1死一、二塁から5番・オスナの適時打の打球を緩慢な動きでファンブルすると、直後に右足首付近を押さえてその場に倒れ込み、頭を抱えて悶絶。そのまま担架で運ばれ、ベンチに退いた。球団によると、病院で検査を受けた結果、右アキレス腱断裂と診断された。
二軍戦ではスモークが7試合に出場して18打数6安打の打率.333。テームズは9試合で22打数11安打の打率5割、4本塁打、15打点と打ちまくり、昇格を果たしたが、ロッテ、西武で通算2081安打をマークした評論家の山崎裕之氏がこう指摘する。
「スモークは4打席目に左で打った安打が良かったですね。落ちない甘いフォークでしたが、打撃フォームに変なクセがなく、自然体で軸の回転で打てていた。今は落ちるボール全盛の時代。球を呼び込める形はできており、低めの変化球はある程度見極められるでしょう。右より左打席の方が期待できると思います」
■「普通ならレフトフライの当たり」で処理ミス
それならテームズはどうなのか。山崎氏が続ける。
「2三振で交代しましたが、ボールを迎えにいっていないので、形は悪くなかった。いただけないのは左翼の守備です。ワンバウンドを処理しようとして故障しましたが、普通ならレフトフライの当たり。動きが鈍過ぎます。来日時の隔離期間などもあったので、あまり鍛えてこなかった感じですね。アキレス腱断裂は残念です」
スモークは2年総額600万ドル(約6億6000万円)、テームズは単年契約の年俸120万ドル(約1億3200万円)。スモークは年俸3億3000万円と大枚をはたいているだけに、しばらくは優先的に出場する見込み。さるチーム関係者がこう言った。
「新型コロナウイルスの影響で合流は遅れたが、メジャー通算計292発の2人を原監督は待ちわびていた。日本シリーズで2年連続ソフトバンクに4連敗を食らい、パの投手陣に打ち勝つことが目的の長打力を重視した補強だったのですが……」
「結果を出している若手から出場機会を奪わないで」
もちろん、プラス面ばかりではない。ここまで好調を維持していた松原聖弥外野手(26)がはじかれる形でスタメン落ち。26日には、3本塁打をマークし5番に入ることもあった一塁手の香月一也内野手(25)が二軍落ちとなった。巨人OBで投手コーチや中大監督を歴任した高橋善正氏(評論家)がこう嘆く。
「非常に残念ですね。松原はこの前まで3割をキープしていて、なかなか調子が上がらない打線にあって、1番としてチームを引っ張っていた。中堅の守備でも25日の広島戦で、菊池涼の大飛球をフェンスに激突しながら好捕した。育成選手から這い上がって、今まさに伸び盛り。香月にしても、思い切りのいいスイングで持ち味の長打力を発揮していた。一軍で試合に出続ければ、大きく飛躍する可能性を感じます。原監督は『実力至上主義』と言うなら、結果を出している若手から出場機会を奪わないで欲しい。これでも外されるなら、ファームにいる若手のモチベーションだって上がりません。大学の監督経験者として言わせてもらうと、こんなことをやっていたら、高校や大学側から『巨人には選手を預けたくありません』と敬遠されてしまいますよ」
結局、テームズの後に入ったウィーラーが九回に決勝弾を含む4安打の活躍で巨人が乱打戦を制した。結果を出していた伸び盛りの若手を二軍に落としてまで新外国人を使うなら、相当な成績を残さなければ割に合わない。そうでなければ、チーム内に歪みが生じるのは確実。ネット上でも批判が噴出している。新助っ人の投入は、チームに新たな波紋を呼びそうだ。