五輪選手らを選手村と会場に“閉じ込める”政府案の浅はかさ
■深夜まで繁華街が外国人で溢れた長野五輪
そもそも突然浮上してきた監視員とは、一体どんな権限を持ち、その指示にはどこまで強制力があるのか。従わない選手は即、参加資格を剥奪されてしまうのか。分からないことだらけ。またぞろ、監視員業務を請け負うかもしれない人材派遣会社へ巨額予算を流すための“仕掛け”ではないか……と、うがった見方が出てきても不思議ではないだろう。
政府や五輪組織委などが策定した規則では、選手やコーチらは選手村と競技会場、練習会場などに行動範囲を制限する――としているが、日本人のように「ハイ分かりました」とおとなしく従う国民ばかりではない。
「1998年の長野五輪開催時、市内の数少ないスナックや繁華街は深夜遅くまで外国人選手やその関係者で溢れました。複数の大柄な外国人がビールジョッキを片手に肩を組み、大声で歌い、怒鳴り散らす。五輪競技を映すテレビ画面を見ては机をドンドン叩いて大はしゃぎ。そんな様子が明け方まで続いたかと思えば、風俗街へと繰り出し、女性を見つけては手当たり次第にキスしたり、体を触ったり。そんな光景があちこちでみられました。これがオリンピックという世界イベントなんだ、と強く思ったものです」(長野五輪を取材した地元記者)
陽気な外国人選手らを大会期間中、選手村と競技会場に“閉じ込めておく”など、現実的ではないのは言うまでもない。中止するのが最善の選択肢ではないのか。