メジャーが五輪に冷淡なこれだけの理由 機構や球団の態度や考えにも一理ある
大リーグ機構が選手会と協力し始めたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催時期が3月なのは、公式戦の日程変更への機構のためらいを象徴的に示している。
球団経営陣がオリンピックに消極的な理由もWBCの場合と同じで、「選手がオリンピックの試合で負傷するのは、選手への投資を考えれば割に合わない」というのが本音だ。
大リーグの一流の選手たちが各国代表としてオリンピックに参加し、野球競技に注目が集まったとしても、金銭的な利益は国際オリンピック委員会(IOC)にもたらされ、IOCが国際競技連盟に配分する補助金の原資となるだけである。これでは、機構や球団経営陣の目には選手を参加させ、公式戦を中断する見返りが乏しく映るのも当然と言えよう。
■若年層の野球離れ
何より、米国では20歳代以下の世代がオリンピックに興味を持つ割合が、他の世代よりも低く、「五輪ファン」は高齢化しつつあるから、球界にとっては若年層の野球離れそのものを食い止める活動の優先度が高くなる。
こうした機構や経営陣の態度は身勝手と思われるかもしれない。だが、その身勝手さのために、球界が「ペテン」や「ぼったくり」と金権的な体質が批判されたIOCと一線を画しているのも事実である。機構などが示すオリンピックへの冷淡な態度は、決して嘆かわしい話ではないのだ。