著者のコラム一覧
友成那智スポーツライター

 1956年青森県生まれ。上智大卒。集英社入社後、今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流、米国での現地取材も頻繁に行いアメリカ野球やスポーツビジネスへの造詣を深める。集英社退社後は、各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」は日本人大リーガーにも愛読者が多い。

MLB滑り止め使用禁止をすり抜ける「ブレンドテクニック」

公開日: 更新日:

 MLBは先週30球団に通達を送り、今後はルールブックにある通り、投手が指先に異物(滑り止め)を付けて投げる行為を全面的に禁止し、違反者には10試合の出場停止処分を科すことを伝えた。

 これは、MLBの黙認ポリシーを百八十度転換するものだ。MLBが異物の使用を取り締まらなくなったのは、打者の側から、松ヤニや日焼け止めなどの滑り止めの使用で変化球の威力が増すことより、滑り止めを禁止することでボールのコントロールが利かなくなってデッドボールが増える被害の方が大きいので、黙認して欲しいという要望があったからだ。

 それによって、異物の付着を禁止したルールは半ば死文化し、2015年以降、異物の使用が見つかって処分を受けた投手は一人も出ていない。それでも、今回MLBが厳罰主義に転じたのは、投手たちが少量で強力な粘着効果を発揮するスパイダータックに代表されるニュータイプの滑り止めを広範囲で使用するようになり、速球のスピンレートと変化球の曲がりが、打者の許容できないレベルに向上したからだ。

 ヤンキースの大エース、ゲリット・コール(30)はスパイダータックの使用が判明している投手の一人だが、彼は使用前の17年当時(パイレーツ)はフォーシームのスピンレートが平均(2306)以下の2164だったが、アストロズ移籍後に使い出すとどんどんスピン量がアップし、19年には2500になって20勝投手になった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇