中田翔が“巨人サマサマ”で焼け太り…命運握るエース菅野の復帰、原監督は辛抱の沸点が低い

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 巨人の中田翔(32)が試される。

 初スタメンとなった22日のDeNA戦でいきなり一発を放ったものの、25日の広島戦は2四球を含む1打数無安打。巨人では9打数2安打となった。すっかり「5番・一塁」で定着しつつあるが、暴行からわずか9日で出場停止処分が解除となり、移籍のどさくさに紛れて試合に出場していることで、依然として逆風は強い。

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 そんな中、二軍調整中のエース菅野智之(31)が26日の広島戦に先発する。今季は脚部と右肘の違和感などを理由に離脱を繰り返し、2勝4敗、防御率3.29。7月1日の広島戦で3回途中4失点でKOされ、翌2日に今季4度目の登録抹消となった。同3日には東京五輪の日本代表を辞退。約1カ月にわたるリハビリ期間を経て、投球フォームの改造に取り組んでいた。

 これまで独自の調整が許されていたが、今回はエースの特権は剥奪され、二軍戦での登板が義務付けられた。19日のロッテ戦では4回61球を投げ、3安打2四球1失点。5三振を奪ったものの、フタを開けてみなければ分からない未知数の復帰登板となる。

 そんな苦しむエースだが今季は打線の援護に恵まれていない。これまでの援護率は「3.57」。ちなみに、8勝5敗、防御率3.91の戸郷は「6.41」。7勝1敗、同2.11のメルセデスは「5.58」と高い援護率を誇り、勝ち星を伸ばしている。“病み上がり”のエースには、援護点が何よりの良薬となる。さるチーム関係者がこう言った。

「そこで原監督が期待するのが、中田です。菅野とは、2015年のプレミア12で投打の両輪として活躍した同い年。球界の1989年(生まれ)会のメンバーで知らない仲ではない。“全権”がある原監督が獲得を進言したから、誰も表立っては言えないけど、今回の移籍に釈然としない思いを抱える関係者は球団内にも多い。東京ドームで中田が打席に立つと、温かい拍手が起こりはするものの、巨人ファンだって全員が認めたわけではないでしょう。だから、菅野の登板日に援護することで初めてチームの一員になれるところはあると思う。周囲の印象が格段に良くなるのは確かです」

巨人移籍はいいことづくめ

 追い風もある。

「いずれにしろ、中田にとって今回の巨人移籍はいいことずくめですよ」

 とは、日本ハムOB。

 後輩選手をぶん殴って無期限の出場停止処分を食らい、一時は現役引退を覚悟して絶望の涙を流しながら、移籍が決まったらたった9日間で処分が解除された。その翌日には巨人のユニホームを着て東京ドームの試合に出ているのだから、本人も頬をつねっているのではないか。

■爆弾を抱える腰の負担軽減

「それだけではありません。腰に爆弾を抱える中田は、6月に急性腰痛で離脱。試合中に三ゴロを打って一塁を駆け抜けようとした瞬間、両ひざから崩れ落ちてそのままタンカで運ばれた。ヘルニアが原因で医師からは手術を勧められている状態です。現時点では保存療法を選択している中田にとって、北海道から九州まで行く日本ハムでの移動が大きな負担になっていましたから。圧倒的に移動距離が短いセ・リーグの、それも神宮と横浜へは車で1時間以内の移動で済む巨人に入ったことで、不安を抱える腰への負担は大きく軽減されますから。球場、投手のレベルを考えてもプラスしかありません」

■「見限るのは早いと思う」

 本拠地は12球団で最も本塁打が出やすいと言われる東京ドーム。セの球場は総じてパに比べて狭いから、打席で力みかえっては凡打を重ね、スランプが長引くタイプの中田にとっては、これもプラスだろう。

「昨年こそ4年ぶりの打点王に輝き、ホームラン数も5年ぶりに30本の大台(31本塁打)に乗せたものの、ここ数年は速い真っすぐに差し込まれるケースが目立っていた。腰の不調もあるし、年齢からくる衰えもあるでしょう。でも、本格派が揃うパの投手と比較すれば、セの投手はエース級でもスピード、球威に劣る。中田にとってはくみしやすい。それに、日本ハムの関係者はこんなことも言ってました。『翔はオープン戦や交流戦で年に1度か2度の広島遠征を楽しみにしていた。若手選手を引き連れて広島の実家に帰り、母親の手料理に舌鼓を打つ。これがいいリフレッシュになっていました。巨人では定期的に広島に帰れますからね。こういうことも案外、大きいんじゃないですか』と」(前出の日本ハムOB)

 確かに、何から何までいいことずくめだ。

 中田の日本ハムでの今季成績は39試合出場で打率.193、4本塁打、13打点と散々だった。急性腰痛前には、10年目を迎えた栗山政権では故障以外で初となる二軍落ち。限界説も囁かれ始めた矢先の暴行、巨人移籍だった。そんな中田にとって、巨人の環境はまさに天国。逆に言えば、ここで復活を印象付けられなければもう終わり。巨人関係者はこう言っている。

「中田獲得はFA補強ではないから、原監督も我慢はしない。見限るのは早いと思う」

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