アーチェリー男子個人・団体「銅」古川高晴<4>五輪3連覇・野村忠宏氏との邂逅で「パリ金」の決意が芽生えた
古川高晴(37歳、アーチェリー男子個人・団体、銅メダル/近大職員)
7月26日に男子団体で日本史上初となる銅メダルを獲得した翌日は午前中からメディア対応に追われた。28日からは個人戦が控えていたが、
「その日の午後は雨だったので練習場に行けず、気持ちに浮つきもありました。しかし、『1つ持って帰るもの(メダル)がある』という安心感から心に余裕が生まれ、気持ちを切り替えて次を狙いにいこうと。個人戦の1、2回戦がある朝は完璧な精神状態で目覚めました」
初戦はメキシコのルイス・アルバレスを7―3で下し、2回戦はシュートオフの末、オランダのヘイス・ブルークスマに6―5で競り勝った。
「このオランダのヘイス戦が個人戦の中で一番ヒヤッとした試合です。最初の1本目、弓を引いたら風が強くて、いったん戻した。また引こうと思ったらやっぱり風が強くて。それでも時間が迫っていたので慌てて射ったら、5点。相手に弱みを見せてしまった、ヤバイと。しかし、強風に苦しむのはヘイスも同様です。相手のミスもあり、なんとか勝てました」
31日の3回戦以降に駒を進めた。準決勝で五輪覇者となるトルコのメテ・ガゾズに敗れたものの、3位決定戦では7―3と差をつけて台湾の湯智鈞を破った。この瞬間、古川が獲得したメダルは12年ロンドン五輪個人銀、東京五輪団体銅、個人銅の計3つとなった。