阿部二軍監督と読売巨人軍“原後継”人事…一軍復帰の中田翔“完全再生”なしでは始まらない
二軍で調整していた巨人の中田翔(32)が21日、一軍に復帰した。
■最短の10日間で一軍復帰、即スタメンも…
敵地での広島戦に「6番・一塁」で先発出場。1打席目に四球を選んだものの、2、3打席目はいずれも空振り三振に倒れた。2点を追う九回無死一塁では、あえなく中飛。3打数無安打で打率は.140となり、チームは広島・床田に完封負けを喫した。
暴力事件を起こし、8月に日本ハムから移籍したものの、16試合で打率.150、1本塁打、2打点。11日に登録抹消となっていたが、最短の10日間で一軍に戻ってきた。
二軍では13日に長嶋茂雄終身名誉監督から40分間の直接指導を受けた。さらに背番号10の先輩でもある阿部慎之助二軍監督(42)が連日のマンツーマン指導。
「バットを振らないで見ていけ」と指示された打席では、カウント3―2から見逃し三振を喫したものの、「見にいっても中田翔クラスはフルカウントになる。そういう練習ができるのはここしかない」と言う阿部二軍監督の意図を酌んだ。さらに大股開きで下半身を強化するティー打撃などを課され、バットを振り込んだ結果、二軍戦6試合で22打数11安打、打率5割、4本塁打と爆発。阿部二軍監督に復活を託していたという原辰徳監督(63)も「慎之助世代の指導もすごく良かったのだろう」と目を細めていた。
とはいえ、問題は一軍で打つか打たないか。この日の試合前まで左投手から.193、右投手から.178。広島先発の左腕・床田に内角を執拗に突かれ、音なしに終わった。
二軍では10連敗などで最下位
原監督は今季で3年契約が満了する。次期監督“筆頭”候補といわれる阿部二軍監督にとっても、中田は「重要人物」だという。ファーム関係者がこう言う。
「球団内で阿部二軍監督の一軍監督就任の機運が高まっていないからです。二軍は今月10連敗を食らっている。中田が二軍に落ちてきた途端、6連勝したとはいえ、本来いるべき選手ではないし、相変わらずイースタンの7チーム中、最下位に沈んだまま(21日現在)。高卒新人の秋広ら若手を積極起用していることはあるにせよ、一軍は先発投手を5人で回しているし、チーム打率も低く、得点力不足にあえいでいる。そんな状況でも、一軍に送り込めるイキのいい若手が出てこないのも、球団の評価に影響しているようなのです」
■原監督は契約満了なのに…
もちろん、中田を再生させられないからといって、次期監督候補から外れることはないだろう。ただ、中田の調子が劇的に上向けば、阿部二軍監督の評価が上がるのは確かである。
「二軍監督の仕事は、勝敗にこだわる一軍とは違い、若手を育てて一軍に送り込むこと。次に、調子を落とした、あるいは衰えた元主力を再生させるのも重要な仕事。原監督が3度目の就任後、まだ十分に現役を続行できた阿部を2019年に引退させ、二軍監督に据えてから2年目になる。最初から自身の後継者として禅譲したい意向がある。ただし、いくら“全権”があっても、こればっかりは一人では決められない。原監督も実績をつくってもらいたいから『慎之助世代の指導もすごく良かった』などと持ち上げている。でも、肝心の中田が一軍で打たないことには何も始まらないのです」(前出の関係者)
周囲の雑音を封じ、無事に一軍監督に就任するためにも、コツコツと実績を積み上げるしかない。「ポスト原」のカギは、注目度の高い新参者の中田も握っているのである。