エンゼルスは大谷翔平の残留に勝算アリ!「二刀流起用を使いこなせるのはウチだけ」の自負

公開日: 更新日:

 周囲に与えたインパクトは大きかった。

 大谷翔平(27=エンゼルス)が今後について聞かれ、「ファンも球団の雰囲気も好きだが、それ以上に勝ちたいという気持ちが強い」と答えたことだ。


 ベーブ・ルース以来の本格的な二刀流で全米を席巻した選手が、いまのチームは気に入っているけれども、なによりも勝ちたいと心境を吐露。移籍志願とも受け取れる発言をしたのだから、ネット裏は騒然。マドン監督が退団を望んでいるという意味ではないと火消しにやっきなら、大谷発言に腰を浮かせた老舗名門球団があるともいわれている。

■300億円規模の長期契約

 そんな中、当のエンゼルスは、大谷の引き留めに自信を持っているという。早ければ今オフにも総額200億~300億円規模の長期契約を結ぶことを視野に入れているとの報道もあったが、エンゼルスの勝算の裏には二刀流選手ならではの特殊な起用法があるようだ。

 編成責任者のミナシアンGMには、“大谷を二刀流選手としてうまく機能させているのはエンゼルスだから”という自負があるという。

先発ローテはメチャクチャ

 例えば、大谷の登板間隔は最低でも中5日。となると先発が6人必要になるうえ、大谷は体調次第で中6日やそれ以上の登板間隔が必要になるケースもあるから、他の先発のローテが一定ではないどころかメチャクチャになってしまうことも。

 野手としても守備に就かない大谷は、DHの枠を独り占めすることになる。

「大谷の登板間隔が定まらないシワ寄せは他の先発陣にいく。日本ハム時代には急きょ、登板日が変更されて泡食った先発もいたと聞きました。野手としてもDHをほぼ独占するので、他の主力野手を休養させることができなくなってしまう。今季はトラウト、レンドンの主砲2人がケガで離脱したため、さほど大きな問題にはならなかったが、2人が復帰するであろう来季はやりくりが必要になる。マドン監督が来季、大谷を外野手としても起用したいと三刀流を示唆したのも、そんな事情があるからなのです」(現地特派員のひとり)

■チームによってはマイナス

 いずれにせよ、大谷の二刀流にはさまざまな制約が生じる。二刀流が看板になっているエンゼルスなら可能でも、他のチームで同様の起用ができるとは限らない。要は「大谷中心のチーム」でなければうまくいくはずがないと、エンゼルスはみているのだろう。

 実際、ヤンキース、レッドソックス、ドジャースなどは、すでにスター選手がてんこ盛り。大谷が加入したがゆえにローテがぐちゃぐちゃになるようなら、間違いなく波紋が生じる。野手としても、中軸を打つスター選手の休息の場でもあるDHを大谷が独占するようなら、彼らは黙っていないだろう。

 今季は投げて9勝、打者として46本塁打。一人二役で、先発投手かつ中軸打者として文句ない成績を残せるとしても、だからといって、どんなチームにもフィットするわけじゃない。大谷ひとりが好成績を残しても、さまざまな制約のある二刀流選手の加入によって内部に波紋が生じ、チームによってはむしろマイナスに作用するケースもあるということだ。

 エンゼルスは二刀流起用の難しさを嫌というほど知っているだけに、大谷を使いこなせるのはウチだけとソロバンをはじいているかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…