<1>森保Jの命運かかる大一番! コロナ禍初の海外取材を決意しマスカットへ
11月11日のベトナム戦(ハノイ)に1-0で辛勝し、2022年カタールW杯最終予選前半戦を勝ち点9の3位で折り返した日本。サウジアラビア、豪州の2強の背中もようやく見えてきたが、16日のオマーンとのアウェー戦で足踏みするようなことがあれば、本大会出場に黄信号が灯ることになる。
まさに森保ジャパンの命運を賭けた大一番。決戦に向け、筆者はコロナ禍初の海外取材を決意。紆余曲折を経て、13日に敵地オマーンのマスカットに入った。
森保ジャパン発足後はアジア杯(UAE)、コパアメリカ(ブラジル)、2次予選のキルギス戦(ビシュケク)など大半の海外遠征に帯同してきた筆者もご多分に漏れず、コロナ拡大後は国内に足止め。2年間もパスポートを使っていなかった。
今回も出国前のPCR検査や帰国時の隔離などハードルが高いため、悩みに悩んだ。が、9月2日に大阪・吹田で不覚を取ったオマーン相手だけに何が起きるか分からない。森保監督の去就に関わる事態に直面することもあり得る。そこで一念発起し、リスクを冒してでも中東行きを決断。9月末からリサーチを開始した。
その時点で同国は、ワクチン2回接種とPCR検査の陰性確認があれば、隔離なしで入国可能。安堵はしたのも束の間、PCR検査は「鼻咽頭ぬぐい法」のみだと知った。それを実施し、英文証明書を出してくれるクリニックは都内でも限られる。値段も平均3万5000円。我々フリーランスには高額すぎる。そんな時、中東在住の仕事仲間から「1万6000円のところが恵比寿にある」という情報がもたらされ、早速、予約して第一段階をクリアした。
ビザ取得をめぐり大混乱
次なる関門は取材申請。日本サッカー協会が10月下旬に示した条件は「記者6人」。非常に狭き門だったが、締切ギリギリに確認すると新聞社からの申請は4人。2枠空いている。フリー仲間1人とともに手を挙げ、首尾よく取材OKを得た。
同時に「オマーンサッカー協会から指示された形式でイービザを取ってください」と指示され、すぐさま着手したが、不明点が次々と浮上し、なかなか先に進まない。11月8日の週になっても取得できず、在日本オマーン大使館にも電話を入れたが、「我々が推奨しているのと異なるビザ取得方法なのでお答えできない」と言われてしまった。
困り果てていると、今度は「ワクチン証明とPCR陰性証明を事前にアップロードしなければいけない」と大使館員に教えられ、慌てて手続きを実施。コロナ対応の海外旅行保険1カ月分の加入義務もあると言われ、それも済ませた。
その上で「日本人は短期滞在なら有料ビザはいらない」という日本協会担当者の言を信じてベトナム戦翌日の12日夜に羽田空港へ。コロナ前とは打って変わってガラーンとしている出発ロビーから中へ入り、フランクフルト行きのルフトハンザ機に乗り込んだ。
オマーンは過去4回行っているが、いずれも中東経由だった。が、コロナ禍でフライトキャンセルが相次ぎ、適当な便が見つからず、やむを得ず、欧州回りになった。
カタール航空という選択肢もあったが、ドーハで「20時間のトランジット」というのは厳しい。オマーンの場合、PCR検査を受けてから96時間以内に現地に到着しなければならず(8時間以下の移動の場合は72時間)、リスクがあったため、4時間半のトランジット時間のルフトハンザを選択した。
その結果、直近のコロナ感染者が1日5万人以上出ているドイツに立ち寄ることになり、戦々恐々とした。けれどもフランクフルト空港は羽田に比べて圧倒的に人が多く、国際間移動はコロナ前とほぼ一緒のように感じた。
ドイツからは満席、6時間「密」状態でマスカット着
EU主要国はワクチン2回接種者は、到着時のPCR検査も隔離も不要。それが人の往来を引き上げているのだろう。
もともとマスクをつける習慣がない欧州人も大半が着用していた。が、オマーン便の中でドイツ人男性2人組がマスクを外し、近距離かつ大声で喋り続けるのには面食らった。搭乗時はマスク姿だったのに、喋り始めた時に外外すのだから、コロナ感染対策になっていない。やはりどこかで「素」が出てしまうのだろう。
ほぼ満席便で密を余儀なくされること6時間。13日夜(日本時間14日未明)にマスカットに着いた。ビザカウンターに行くと「日本人は不要です」と言われ、入国審査官も普通にスタンプを押してくれた。あまりに簡単すぎる対応に拍子抜けするほどだった。
その後、ワクチン接種者は書類事前アップロード済のQRコードを見せるだけで終了。未接種者はPCR検査場に進む形が採られ、区分けもしっかりされていた。到着後は1時間足らずで外に出られて、まずまずスムーズだった。
12日朝に現地入りした日本代表も「到着時にPCR検査を受けて、結果が7~8時間後に出る」と言われていたようだが、検査免除になったという。日本では、絶対にあり得ないことが起こるのが海外だが、アウェーも悪いことばかりではないのである。(つづく)