山本由伸がプロ2年目で後輩に語った“チーム愛”メジャー挑戦よりも「オリックスで優勝したい」
オリックス・山本由伸物語(下)
「由伸さんの投球を初めて見たのは、高校入学直前の練習見学でした。もう言葉が出なかった。これは打てそうにないと」
笑い交じりに振り返るのは山本由伸(23)の都城高の1年後輩である福田尚輝さんだ。
“剛速球を淡々と投げ込むスゴイ先輩”という第一印象は、入学後に大きく変わることになる。
「多くの先輩は挨拶しても普通に返す感じでしたが、由伸さんは違いました。『おう、なんや~!』とちょっかいを出してくれる(笑い)。普段はいつもニコニコしていて、マウンドにいる時とのギャップが凄いんです。僕が屋外の便所を掃除していると、『入ってもよろしいでしょうか』と冗談めかして頭を下げ、水浸しの床にスパイクのドロが落ちないように、ソロリソロリと丁寧に進んで用を足したり(笑い)。上下関係が厳しい部活でしたが、由伸さんは偉ぶることもなく、とにかく優しかった」
投手だった福田さんは練習などで多くの時間を共にした。高校最後の夏が終わったその日の帰り際に譲り受けたシューズは宝物だ。