竜巻被害への対応で露呈した大リーグ機構の思惑…労使対立を有利に解決するための手段に?
現地時間の12月10日にケンタッキー州など米国の南部から中西部の6州で起きた強い竜巻は、多数の死者や行方不明者をもたらす大惨事となった。
15日に大統領のジョー・バイデンがケンタッキー州を視察して被害者の手を取って慰めの言葉をかけるとともに、竜巻の発生から30日間の緊急対策費用を連邦政府が全額負担すると表明したことは、政権として事態を深刻に受け止め、被害者への支援を惜しまない姿勢を示すものだ。
バイデンが対応策を迅速に示すのは、2005年にルイジアナ州などが被害を受けたハリケーン・カトリーナの教訓に学んだ結果である。
カトリーナは1300人を超える犠牲者と1250億ドルの被害をもたらした米国史上最大級の大災害であった。
それとともに、救援活動や治安維持などを含め、当時のブッシュ政権の対応は不十分だと批判され、政権の支持率が低下した。
こうした過去を踏まえれば、与野党を問わず「政権の顔」とされた副大統領のカマラ・ハリスの能力が疑問視され、政権の発足から1年と経たないうちに支持率の低下に直面しているバイデンにとって、対応に注力する姿勢を示すことは政権の信認を高めるためにも不可欠となる。