阪神の今季の問題はただひとつ 4番や開幕投手などどうでもいい
「競争」という言葉ほど便利なものはない。
2月からのキャンプを前に、首脳陣がそう言っておけば、なんとなく角が立たない。メディアも「横一線」とか「あるぞ若手の抜擢」「サプライズ起用も」などと、好意的に報じてくれる。日本ハムの新庄監督も強調しているし、阪神の矢野燿大監督(53)あたりも好んで使う。先日も、今季の開幕4番と開幕投手について触れていた。
いわく、4番打者は「大山と佐藤輝を争わせる」のだという。大山と2年目の佐藤輝が競争を勝ち抜いたとき、「本当の4番ができると思う」とした。開幕投手も同様に、西勇と青柳、秋山に2年目の伊藤将を加えた4人にチャンスがあるとし、競争をあおっている。
当たり前のことだろ、と言っては気の毒だ。4番は? 開幕投手は? と聞かれれば、無難にそう言わざるを得ないのだから。昨季、矢野監督は開幕4番に起用した大山と心中できなかった。5月に故障で離脱すると、復帰後に調子が上がらないと見るや、6月末には6番や7番に降格。その後は、打順を上げたり下げたりと落ち着かなかった。佐藤輝の起用に関しても同様だった。