<22>高木菜那所属・サンキョー廃部の衝撃 メダルラッシュが企業スポーツを追い込む皮肉
今月1日、スピードスケート界に衝撃が走った。「日本電産サンキョー」スケート部の廃部。清水宏保くん、高木菜那選手らメダリストを輩出してきた名門スケート部がまたひとつ姿を消すことになった。廃部だけは避けてほしかっただけに、残念でならない。
長引くコロナ禍などさまざまな事情があるのだろうが、サンキョーが挙げた「企業がスピードスケート競技の発展に貢献するという当初の目的についての展望が持てないと判断した」との理由がすべてを物語っている。
日本のスピードスケートは確実に強くなった。2014年ソチ五輪でひとつもメダルを取れず、実業団の垣根を越えたナショナルチーム(NT)が発足。選手は1年間の大半をNTで過ごし、技術を研鑽してきた。その一方で、「NTがあれば実業団はいらないんじゃないか」という議論はこれまでも出ていた。NTがヨハンコーチを招聘して代表チームの強化に成功すればするほど、実業団は強化の必要性に疑問を感じるようになったのは自然な流れだろう。そうなる前にNTと実業団のあり方を考える必要があると思う。