<24>練習が終わると一目散…恩師が深めたロシア&ベラルーシとの「たばこ外交」
ロシアのウクライナ侵攻開始からもう1カ月。一刻も早くこの戦争が終わってほしい。このコラムでもロシアの話題ばかりが続いてるが、もう少しお付き合いください。
ベラルーシには行ったことはないが、ロシアには何度か国際大会で足を運んだ経験がある。労働者が多く、意外にも物価が高いイメージが残っている。とはいえ、現役時代に感じたロシアやベラルーシの印象はそこまで悪くはなかった。
というのも、私の恩師である富士急スケート部の長田照正監督がやたらとベラルーシの選手や監督に話しかけられては、たばこに誘われる姿を目にしていたからだ。
当時、屋外リンクが主流だったスピードスケート。リンク内はさすがに禁煙だったが、リンクサイドにある整氷車の車庫には灰皿が置かれ、愛煙家のたまり場となっていた。私たち選手が練習を終えると、監督やスタッフは一目散に喫煙所へ。韓国、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンなど各国のスタッフが一服する光景をよく覚えている。そして、その輪の中には決まって長田監督がいた。
たばこ仲間たちは互いを認識しているのか、ベラルーシやロシアの監督は練習が終わるや、「オ~、オサダ!」と声をかけては、指でたばこをふかすジェスチャーをしてたばこをせがんでいた。長田監督は「まったく、しょうがねえなあ。行くぞ」と言って断ることもなく喫煙所へ。毎回しっかりたかられていた。