矢野阪神に新たな火種…監督寿命を縮める「4.15色紙問題」球団はスポーツ紙に異例の要請まで
「何かにすがりたい気持ちは分からんでもないが……」
こう漏らすのは、古株のOBだ。
阪神は20日のDeNA戦にサヨナラ負け。22試合が終わってもまだ3勝(18敗1分け)しか挙げていない。打率(.218)、防御率(3.96)ともリーグ最低とくれば、チーム内からは不協和音も聞こえてくる頃だが、球団内では「あの一件」が問題視されているという。
引き分けを挟んで6連敗で迎えた15日の巨人戦(甲子園)。佐藤輝の2ランで逆転し、投げては、先発青柳が8回1失点の好投で快勝すると、矢野燿大監督(53)は勝利インタビューで試合を振り返った後、「ちょっと時間、大丈夫ですか?」といってこんな説明をした。
「きょう、お友達の文字職人(個人名)に来ていただいて、365枚ある札の中から漢字を1文字引き当てるんですが、僕が引いたのは『波』という字。波も引く、潮も引いて、波も起きる。浮き沈みはあるけど、みんなで大きい波をつくっていこう、それは楽しむことが一番大事じゃないか、というメッセージをもらった」
突然、文字職人に書いてもらった色紙を取り出しての会見をテレビで見ていた冒頭のOBが言う。
「勝因は選手の力であり、甲子園の大観衆の力です。佐藤に一発が出て、エース青柳のナイスピッチングにつながった。それで十分なのに、信仰がかった話を得意げに話し、まるで勝ったのは色紙のおかげといわんばかりだった。あれでは選手も引くし、放映していたNHKも困ったと思うよ」
文字職人の個人名まで挙げていたから、球団はさすがにまずいと思ったのだろう。同日の夜遅く、新聞各社に色紙の写真は掲載しないよう「お願い」したそうだが、翌日はほとんどの在阪スポーツ紙に出ていた。
6月株主総会は大荒れ必至
その日の試合前、矢野監督は声出し役を買って出た。ベンチ前の円陣で色紙の内容に触れて、ナインの士気を鼓舞して勝った。翌日も今度は自らしたためたという色紙を持って声出し役を務めたが、球団広報は色紙の内容をマスコミに公表しなかった。
■指揮官の奇行にあちこち困惑
甲子園で巨人に連勝して勢いづくかと思ったら、その後は3連敗。
「監督の言動に納得がいかないからチームはまとまらない。キャンプ前の退任表明にも首をかしげる者は多かったが、今回は電鉄本社も参っているようだ。6月には球団親会社(阪急阪神ホールディングス)の株主総会がある。成績不振や采配など、野球に関する批判なら仕方がない。しかし、監督の奇行を追及されても説明のしようがないですから。突然何かやられても困るから、矢野監督の会見に腰が引けているテレビ局もあるという。藤原オーナーは早々に矢野監督のバックアップを約束したが、球団が途中休養を求めるのは意外と早いかもしれません」(在阪マスコミ関係者)
前代未聞の会見が、矢野降ろしの引き金になるか。