佐々木朗希に球界から次々と警鐘が 160キロ連発&フォーク多投で肩ヒジがぶっ飛ばないか

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「ベンチもよく8回で降板させました。(6回で代えてほしかったけど)ついつい目先の勝利や記録にとらわれ、選手に無理をさせてしまうことがあるのですが、良い判断だったと思います」(原文ママ)

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 自身のブログでこう書いたのは、ロッテのピッチングコーディネーターを務める吉井理人前一軍投手コーチである。

 佐々木朗希(20)が17日の日本ハム戦で8回をパーフェクト。メジャーでも例のない「2試合連続完全試合」の大偉業を目前にしながら、投手交代を選択した井口監督の采配が議論を呼んでいるが、吉井氏は「プロ野球は長期戦なので、選手のコンディションを考えながら勝利を目指すことが大事だと思っています」と評価したうえで、「6回で代えてほしかったけど」というのだ。木村投手コーチも「途中離脱はあってはならない一人」と今後も佐々木朗希の記録より、コンディションを優先させる方針を示した。

「プロ3年目を迎えて圧倒的な投球を見せるようになってもなお、周囲が慎重な姿勢を崩さないのは、故障の懸念があるからだと思います。ただでさえ佐々木朗希は、直球の平均球速が160キロに届こうかという剛球投手。当然、他の投手と比べて肩、ヒジへの負担が大きいと考えられる。フォークを多投する投球スタイルも故障のリスクを高めると言えます」

 と言うのは、評論家の橋本清氏。巨人時代の1993年から2年連続で52試合登板、直球とフォークを武器にセットアッパーとして活躍した橋本氏は、96年に右ヒジの靱帯を再建するトミー・ジョン手術を受けた。

■見過ごせない下半身の問題

 佐々木朗希もその2球種が投球の柱で、完全試合を達成した10日のオリックス戦では、全105球のうち直球が64球でフォークが36球。8回パーフェクトの17日の日本ハム戦は全102球のうち直球が57球、フォークは実に42球も投げた。

「フォークは腕を強く速く振りながら、ボールを抜いて落とすわけですから、やはりヒジへの負担は大きい。加えて、見過ごしてはいけないのが、下半身の問題です。私は95年に右ヒジの遊離軟骨の除去手術、96年にトミー・ジョン手術を受けました。試合で左足のスネに打球を受け、なんとか続投した直後の次打者に直球を投げたとき、ブチン! と右ヒジの腱が切れる音を聞きました。足の踏ん張りが利かず、上体の力に頼って投げたのが原因でした。佐々木朗希は今季初めて中6日のローテーションで回っている。今後、自覚がなくともまず下半身に疲労が蓄積していくと思う。左足をあれだけ大きく上げるダイナミックな投球フォームですから、なおさらです。下半身の力をうまく使えなくなれば、上半身への負担が増す。それが一番の心配です」(前出の橋本氏)

165キロを投げた大谷翔平も…

 95年に右ヒジを手術しながら98年に沢村賞を獲得した川崎憲次郎氏もその後、右肩痛に悩まされた。橋本氏と同様、「肩ヒジの故障は、下半身のケガから来るケースが多い」と指摘したうえで、こう続ける。

「プロ野球で投げ続けていれば、いつかは壊れる日が来るもの。高校時代から体が丈夫だった松坂大輔、田中将大でさえ、肩やヒジをケガしている。佐々木朗希は大事に使われていますが、果たして160キロを超える直球、150キロ近いフォークに靱帯や腱が耐え続けることができるのか。心配なのは肩です。ヒジは手術をすれば大事には至らない傾向があるが、肩をやってしまうと元通りのパフォーマンスを発揮するのは難しいのが実情です」

 さらに、球界OBは「球速が上がったときが最も危険。体に一層の負担がかかって故障をする投手は枚挙にいとまがない。大谷翔平(エンゼルス)もそうです」と指摘する。

 実際、大谷は自己最速の165キロを投げた2016年のソフトバンク戦の登板後に「ヒジが飛ぶかと思った」と話したといわれている。

 翌17年は下半身の故障もあり、投手としては5試合登板にとどまり、エンゼルス移籍1年目の18年オフにトミー・ジョン手術を受けた。

■関節の可動域が広い投手は体に負担が

 今季、自己最速を更新する164キロをマーク、平均球速は160キロに迫る佐々木朗希だが過去にそんな投球をしたことは一度もない。

「佐々木朗希は高校時代から体の張りや痛みに対してナーバスで、監督にもきちんと自己申告していた。登板数や球数、投球時の力の入れ具合をコントロールしていたため、プロ入り時は靱帯にキズが一つもないキレイな状態だった。骨の成長を示す骨端線も残っていて、首脳陣も故障リスクを考え、無理をさせなかった。とはいえ、佐々木朗希のような柔軟性があって関節の可動域が広い投手は、手足を大きく広く使ってその反動で投げる分、体に負担がかかる。プロ1年目の93年に鮮烈デビューを飾りながら、翌94年キャンプで右肩を痛めたヤクルトの伊藤智仁(現ヤクルトコーチ)はその典型。佐々木朗希は今も全力投球に耐えられる体ではなく、力の入れ具合を7~8割に抑えて投げているが、中6日でローテを回るのは今季が初めて。17日の試合では疲労により、六回以降はシュート回転する球が多かった。球数が増えたり登板間隔が縮まったりして疲労が蓄積、投球フォームのバランスが崩れている中で無理をすると、そのしわ寄せが一気に来る恐れがあります」(前出のOB)

 しかも、佐々木朗希は2試合連続で完全投球をやったことで、いやが上にも「次も」と周囲の期待は高まる。17日の試合は大入り満員となり、テレビ東京が緊急生中継を行った。

 周囲の熱狂が一層、佐々木朗希の右腕に負担をかける状況だが、球界の総意は「無理はするな」である。

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