「伝説の10.19DH」第1試合 両軍ベンチが序盤からヒートアップした裏側
「何言うとる! 危ないやないか!」
ベンチを飛び出し、二塁ベース付近まで駆け寄った仰木監督は、ロッテの首脳陣に向かって鬼の形相でこう叫んだ。
1988年10月19日のダブルヘッダー第1試合、1点リードで迎えた九回裏の守りだった。
私は無死一塁2ボール、優勝のためには1点もやれない場面で吉井理人をリリーフ。打者・山本功児さんの二ゴロを、大石大二郎さんが捕球しようとした瞬間だった。
■「ぶつかってきたのはそっちじゃないか!」
大石さんが一塁走者の丸山一仁さんと交錯、吹き飛ばされたのだ。打球は右翼方向へ転々とした。
守備体勢に入っていた大石さんに、丸山さんがぶつかってきたのだから守備妨害。審判も「守備妨害」を宣告して丸山さんはアウト。1死一塁で試合は再開されるところだったが、一塁側のロッテベンチから首脳陣が出てきて「ヒットじゃないのか!」と抗議したことが、仰木さんの逆鱗に触れた。