伝説の10.19第1試合九回裏…守護神・吉井理人が判定に激高、球審に食ってかかろうと
2連勝がリーグ優勝の絶対条件だった1988年10月19日のダブルヘッダー。第1試合は同点で迎えた九回2死から、梨田昌孝さんのタイムリーで九死に一生を得た。
■「急いで準備してくれ」
ブルペンにいた私が思わず「やったー!」と叫んだその直後だった。ベンチからコーチが来て「ちょっと急いでやってくれ。準備してくれ」と言われた。
五回あたりでブルペンに来たものの、何しろ2日前に128球を投げたばかり。ダブルヘッダー2試合のうち、どちらかでリリーフ登板があるかもしれないと覚悟はしていた。だからこそブルペンにいたとはいえ、八回からはその年、10勝2敗24セーブで守護神の吉井理人が投げていた。私は梨田さんの勝ち越し打をファンと一緒になって喜んだくらい。あとは吉井が九回を抑えてくれるだろうと思った直後にベンチから声が掛かった。ブルペンにいながら半分は傍観者だったタイミングでの指令だけに、何より気持ちの切り替えが難しかった。
急に……そう思いながらも、とにかく準備をしなければならない。寒かったし、すぐに体を温めなければと、ジャンパーを着たまま急いで肩をつくり始めた。