「伝説の10.19DH」第1試合 両軍ベンチが序盤からヒートアップした裏側
「ぶつかってきたのはそっちじゃないか!」と怒りは収まらない。ロッテ側も「そんなのは不可抗力だろう!」と応酬して一歩も引かない。二塁ベース付近で、売り言葉に買い言葉の言い争いはしばらく続いた。
リリーフで出て行った私は打者ひとりに投げたばかり。ここで間延びするより一刻も早く試合を再開したかったが、激しい口論は一向に収まる気配がない。
ベンチから「阿波野、やっとけ! 投げとけ!」と声が掛かり、体が冷えないよう、投球練習を繰り返した。
この日の試合は序盤からヒートアップした。外れたように見える球をストライクに判定されて打者が三振に倒れると、「おい、おい、ボールじゃねーか!」「審判、どこ見てんだ!」と近鉄ベンチからヤジが飛ぶ。
それが目に余るようになると、「おまえら黙っとけ! 審判にごちゃごちゃ言うんじゃない!」とロッテベンチが応酬する。
「なにをー!」
グラウンドをはさんでこんなやりとりが、1試合目の序盤から絶えなかった。