ブラックホール卓球、ゾンビサッカー、せんたくテニス…密かに人気「ゆるスポーツ」って?
ブリを抱えてハンドボールをする「ハンぎょボール」、こたつに入って湯飲みでミカンを打つ「こたつホッケー」など名前を聞いただけでニヤリとする脱力系スポーツの数々。マジメにやるほど笑いが生まれるため、バラエティー番組でもたびたび登場している。
これらを生み出しているのは一般社団法人世界ゆるスポーツ協会(代表理事・澤田智洋氏)。これまでに100種類以上のゆるスポーツを考案してきた。
2015年に澤田氏とともに協会を創立した理事の萩原拓也さんに話を聞いた。
「もともとは運動が得意じゃない澤田が自分の子どもとも遊べるからというので一緒にバブルサッカーを日本に輸入して広めていました。テレビに取り上げられたりラウンドワンに導入されたりしました。この成功を通して、バブルサッカーの面白い要素を分析し、そのエッセンスを利用した新しいスポーツができるのではないかと考えたんです」
「ゆるスポーツ」の定義は5つ
その後、あるハンドボール選手から<マイナー競技のハンドボールを広めたい>と相談を受ける。実験を繰り返した末に、ヌルヌルして扱いにくいボールを使う「ハンドソープボール」を考案。選手は滑りにくくするために手に松ヤニを塗るが、その逆をいった。ゆるスポーツ第1号だ。
「やってみたら喜ばれましたね。できなかったことが面白かった。楽しい障害や制約を与えると能力の差が埋められるんです」
広告会社のコピーライターでもある澤田氏が「ゆるスポーツ」という言葉を思いつき、次のように定義も固めた。
①老若男女健障、誰でも楽しめる。
②勝ったらうれしい。負けても楽しい。
③プレーヤーも観客も笑える。
④ビジュアルと名前が面白い。
⑤社会課題からスタートしている--だ。
イモムシの着ぐるみを着て寝っ転がってゲームをする「イモムシラグビー」は足の不自由な人も楽しめる。「トントン」というかけ声で土俵を動かす「トントンボイス相撲」は誤嚥防止効果がある。高齢者は遊びながら喉の筋肉が鍛えられる。
「あくまでも『楽しい』が入り口。ぼくたちは選択肢を増やしたいだけ。なければ作ってしまえばいい。それがゆるスポーツのソリューション。ぼくらは運営や普及が目的ではなく、クリエーター集団なんです」
次はどんなオモシロ種目が生まれるのか。