著者のコラム一覧
友成那智スポーツライター

 1956年青森県生まれ。上智大卒。集英社入社後、今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流、米国での現地取材も頻繁に行いアメリカ野球やスポーツビジネスへの造詣を深める。集英社退社後は、各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」は日本人大リーガーにも愛読者が多い。

大谷フィーバーに沸く裏で…エンゼルスが抱える「深い闇」

公開日: 更新日:

 2019年7月1日、エンゼルスの先発左腕タイラー・スキャッグス(享年27)が遠征先のホテルで突然死した。

 それから2年が経過した今年6月29日、スキャッグスの遺族がエンゼルス球団と元広報部長エリック・ケイを相手取って損害賠償訴訟を起こした。スキャッグスの死因は司法当局の捜査によって、モルヒネ系の合成麻薬を過剰摂取したことで激しい嘔吐が起き、吐瀉物が喉に詰まって窒息死したもの、と判明している。

 スキャッグスは、その2年前からモルヒネ系合成麻薬を違法に入手して使用するようになり、事件当夜は一人でやっていて過剰摂取して死に至ったのだから自業自得ともいえる。それでも、遺族が損害賠償訴訟に踏み切ったのは、ケイ元広報部長がかなり前からモルヒネ系合成麻薬のジャンキーで、スキャッグスを乱用者にしたのは、元部長という思いがあるからだ。実際、スキャッグスが使用した合成麻薬はすべて元部長が違法に調達したもの。元部長とスキャッグスは、遠征先でよく一緒に部屋にこもって違法薬物を楽しんでいた。

 左腕が死亡した夜も元部長はスキャッグスから「一緒にやろうぜ」と誘われたが、量が多すぎることに恐れをなしてその場を立ち去った。1人取り残されたスキャッグスは落命したのである。

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