野茂英雄が持っていた意志の強さ KOされて違う球種を勧めたら「嫌です」ときっぱり
■食べて鍛えてつくり上げた肉体以上に強靭だった意思
よく食べ、ウエートトレーニングにも熱心だった野茂は、筋力の値もずばぬけていた。
そんな強靱な肉体以上に強かったのは彼の意思だ。ブルペンしかり、投球スタイルしかり、自分を貫くということに関しては、誰よりもすごかったと思う。
ブルペンを見ていても、高めに外れる球あり、ホームベースの手前でワンバウンドする球あり。ストライクより、ボール球の方が多いほど。それでいて球数が30くらいになると、「終わります」と言って終わりにする。
えっ! これで終わりにしちゃうの? ボール球の方が多いけど、このまま終わっちゃっていいの? 何度、そう思ったことか。
ところが、試合になると、打者はそんな高めのボール球や、ベース手前のワンバウンドを振るのだ。球の勢いとか、フォームの迫力に押され、振らされてしまうように見えた。
ブルペンでは時折スライダーも投げていた。自分の持ち球にしようと意欲的に投げているわけではない。ちょっと試しに投げてみようといった感じ。