宮崎空港の一室で長嶋監督に挨拶「よく来てくれたね」と握手を求められ
「ああ、聞いてるよ」「今年どうだった?」「期待してるよ。頑張ってくれ!」
短い時間だったけれども、私は長嶋監督の顔ばかり見ていた。
東西対抗戦の指揮を執って帰京する監督を見送り、巨人の宿舎である青島のホテルへ入った。
翌日の朝、宿舎に香田がいた。ネクタイをしていたから、トレードが決まり、東京からわざわざ挨拶に来たのだろう。律義な男だと思った。
当時の交換トレードで、両者が活躍するケースはほとんどなかった。それだけに香田には、「移籍することになったけど、いいトレードになるよう、お互いに頑張ろう」と声を掛けた。
まだ、入団会見もしていないし、背番号も決まっていない。私は背番号のないユニホームで球場入り、グラウンドへ出て須藤豊ヘッドコーチや堀内恒夫投手コーチら首脳陣や、木田優夫、石毛博史ら選手たちに、「きょうからよろしくお願いします」と頭を下げた。
落合博満さんや原辰徳さんらベテランは宮崎に来ていなかった。