ファーム暮らし続く巨人3年目を支えてくれた 元近鉄ブルペンコーチの助言
自分の中では本当に終わってしまう
暮れの契約更改で私は、交渉役の山室代表補佐に自分の思いを伝えた。
開幕直前に二軍落ちしたものの、何かをやり直さなければならないとか、力が一軍レベルにないという受け止め方はしていない。人数的な問題で漏れた部分はあるかもしれないけれど、故障したわけでも、蒸し暑い夏場に調子を落としたわけでもない。それだけに一軍で勝負できないことが何よりもつらかった。
ランニングやブルペンでの投球練習に目の色を変えても、一軍のマウンドに上がれなければ意味がない。打たれたから、次こそは抑えたい。そういう気持ちが常にあって、バッターと勝負しているのがピッチャーだ。そのチャンスがなかった。
そういう思いをもう1年、このまま同じ1年が繰り返されるとなると、自分の中では本当に終わってしまう。もうひと勝負できるという意欲も自信もある。仮に巨人でチャンスがもらえないのであれば、他球団に移籍してもいいと。私が山室代表補佐に「一から十まで聞いてもらえますか?」と言って話したのはそういうことだ。
そして巨人でチャンスがなく、トレードで他球団に移籍する場合のことも考えて、「とりあえず、巨人の査定を受け入れます。その査定で契約してください」と言った。 (つづく)