自分が育った横浜で…ヤンキースのような紙吹雪舞う中の優勝パレードは生涯忘れない
赤、青、黄、緑、白……無数の紙吹雪が、ビル風に舞って頬をかすめていく──。
日本一になった横浜の優勝パレードは1998年11月3日、秋晴れの祝日に行われた。
抜けるような青空のもと、パレード用に造られた車の上に乗った私たちは、パシフィコ横浜を出発した。なにしろ38年ぶりの日本一。40万人といわれるファンが沿道を埋め尽くし、大歓声に包まれた。
パレード終盤、車がみなとみらいの方から横浜スタジアムに向かう市役所の横の通りに入ったときのことだ。
両脇のビルの屋上や窓から無数の紙吹雪がまかれ、それがビル風に吹かれて舞い散る様子に、まるでニューヨーク市街で行われるヤンキースの優勝パレードみたいだと思った。あのシーンは生涯、忘れないと思う。
私は横浜で育った。プロ入りしたのは大阪の近鉄。チーム内の知り合いといえば、大学の先輩の大石大二郎さんくらい。初めて暮らす場所で、グラウンド外では正直、戸惑うこともあった。それだけに自分が育った横浜でプレーすることができたのは良かった。高校時代の仲間とか、中学時代の友達が球場に見に来てくれたり、ときには彼らと会ったり。社会人になって初めて暮らした大阪と違って、街のことまでよく分かっている。落ち着いてできたというか、グラウンド外で神経を使うことはほとんどなかった。