ベルギー2部デインズの日本人経営陣の語った壮大なビジョンに期待する
欧州最終取材日の9月3日。ベルギー1部シントトロイデンの取材を終えて、ベルギー西部の町・デインズへ向かった。今年2月に日本人経営陣が買収したベルギー2部・KMSKデインズの視察に出向くからだ。
迎えてくれたのは、ACAフットボール・パートナーズ(ACAFP)の飯塚晃央COO(最高執行責任者)。現時点で今季リーグ最下位と苦しいスタートを強いられ、先月29日には白石尚久監督との契約解除という波乱に直面しているが、複数のサッカークラブを保有・運営する「マルチオーナーシップ」を目指した壮大なプロジェクトは今、始まったばかりだ。
■釜本邦茂氏がアドバイザーに名を連ねる
シントトロイデンからデインズまで約2時間。ドイツ側からフランス側に移動するのだから、それなりの時間がかかる。しかも乗換駅のヘント・セント・ピーターズ駅は大規模改修工事中。重い荷物を階段で運ばなければならず、ひと苦労しながら何とか日のあるうちに到着。スタジアムや練習場の撮影をすることができた。
デインズ買収を仕掛けたACAFPは2021年7月に発足。シンガポールに拠点を置く小野博幸CEO(最高経営責任者)が事業戦略全体の構築、資金調達を手掛け、飯塚COOが戦略執行や財務を担当。日本人中心の経営陣となっている。
さらには、日本サッカー界のレジェンドで本紙評論家の釜本邦茂氏もアドバイザーとして名を連ねる。「挑戦」と「多様性」を大事にしながらプロジェクトを進めているというのだ。
その第一弾が今年2月のデインズの買収。マルチオーナーシップの中核クラブとして育てていくことになった。
「ベルギーは欧州5大リーグに近い地域で、リーグの外国人規制が緩やかで、世界各国の選手を集められます。さらに移籍金金額がオランダやポルトガルと同等レベルにある。飯塚がシントトロイデンで3年間働き、現地事情を精通していたこともあって同国に着目。19-20シーズンに2部に昇格し、今年で4年目を迎えるデインズ買収に踏み切りました」と日本出国前に会った小野代表は背景を語っていた。