九州場所は3カ月の長期出張「夏物を着て行って、冬物を着て帰る」と福岡担当の親方たち
親方にはさまざまな仕事があります。巡業部や審判部、広報部、監察委員といったものから、観覧券を扱う木戸や地方場所担当などもあります。
引退した親方1年生は指導普及部に配属されることが多いです。その後は昇進にともない他の部署への異動があります。
私は引退して数年のちに木戸に配属されました。木戸は通称、テゲツと呼ばれています。チケットをテゲツと発音して、それが定着した……という説もありますが、実際のところはよくわかりません。
地方場所は年に3回、大阪、名古屋、福岡がありますが、担当の親方たちは数カ月前には乗り込み、準備に追われます。
木戸を何年かやったあと、私は福岡場所に配属されました。福岡担当の親方たちは現地滞在が一番長く、「夏物を着て行って、冬物を着て帰ってくる」と言われるくらいです。
国技館での9月場所が始まる前、まだ残暑が続く中、福岡に出発し、残務処理を終えると12月。すっかり冬になっているのです。