大谷が米メディアMVP投票で大差落選…米国に「人種差別」の壁はまだあるのか
大都市ニューヨークと西海岸のアナハイムの違い
「ジャッジがナンバーワン打者なら、大谷はオンリーワンの存在です。2年連続でリアル二刀流をこなしただけに米国では『やって当然』と見られています。年々、評価基準のハードルが上がっていることも支持率を下げた原因のひとつでしょう」(野球文化学会会長で、名城大准教授の鈴村裕輔氏)
とはいえ、大谷の支持率急落の理由は、印象度の問題だけか。
ジャッジは全米屈指の人気球団で、大都市ニューヨークを本拠地とするヤンキースでプレー。しかも、米国出身の白人選手だけに、西海岸の弱小球団に所属する大谷と比較すると、国籍や人種の違いが投票行動に影響を与えているのではないか。
■投票権を持つ記者が多いのは…
「選手はともかく、記者投票はジャッジが有利に働く可能性は否定できないでしょう。全米野球記者協会会員で、投票権を持つ記者は中西部と比べて東海岸に多いからです。仮に大谷が東海岸を本拠地とするレッドソックス(ボストン)やメッツ(ニューヨーク)でプレーしていれば、票差は多少、縮まっていた可能性もあります。ただ、過去10年間でMVPに、去年の大谷のほか、17年のアストロズ・アルトゥーベ(ベネズエラ)、20年のホワイトソックス・アブレイユ(キューバ)ら中南米出身者に加え、13年には黒人のパイレーツ・マカッチェン(米)が選出されているだけに、人種や国籍が投票に影響することはないでしょう」(鈴村裕輔氏)
MVP発表は大リーグ専門チャンネル「MLBネットワーク」に最終候補3人が出演し、全世界に生配信される。昨季は「ショウヘイ・オオタニ」の名前が読み上げられたが、今年はかなり厳しそうだ。