大谷が米メディアMVP投票で大差落選…米国に「人種差別」の壁はまだあるのか
ア・リーグMVP(日本時間18日発表)の前哨戦で黒星が続いている。
これまで「ベースボール・ダイジェスト」「スポーティング・ニュース」の米老舗専門誌が今季の最優秀選手賞を発表したが、エンゼルス・大谷翔平(28)は、いずれもヤンキースのアーロン・ジャッジ(30)の後塵を拝しているのだ。
■2年目のリアル二刀流よりマリス超えのインパクト
「スポーティング・ニュース」が実施した選手360人による投票ではジャッジが約66%の支持を集めたのに対し、大谷の得票率は約18%。ジャッジは今季62本塁打を放ってロジャー・マリスのリーグシーズン最多本塁打記録(61本)を更新し、大谷はベーブ・ルース以来となる「2ケタ勝利と2ケタ本塁打」に加え、史上初となる「投打の規定到達」を達成した。どちらも歴史的な快挙であることに間違いはなく、選手間で支持が割れるのは当然とはいえ、大谷の得票率はライバルの足元にも及ばなかったのだ。
4日には大リーグ選手会(MLBPA)による各賞受賞者の発表を控えているが、大谷は18日発表のア・リーグMVPも含めて今季の主役をジャッジに譲ることになりかねない。大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう言った。
「大谷とジャッジのインパクトの違いが大差となって表れたのでしょう。ジャッジはア・リーグのシーズン最多本塁打記録を塗り替えたうえに、打点王(131)と合わせて2冠を獲得してチームを地区優勝に導いた。ジャッジは米野球データサイト『FANGRAPHS』による選手の貢献度を示すWAR(11.4)でも大谷(9.4)を圧倒している。最近、WARを重視するのはメディアに限らず選手も『FANGRAPHS』や『ベースボール・リファレンス』をチェックしています。メジャーリーガーの多くは投打の二刀流をこなす大谷の実力を認めていても、ジャッジの貢献度とインパクトを評価した選手が多かったのではないか」
インパクトといえば、2001年のイチロー(マリナーズ)だ。デビューイヤーで両リーグ最多の242安打を放ち、首位打者(打率.350)と盗塁王(55)のタイトルを獲得。リードオフマンとして地区優勝に貢献し、史上2人目のMVPと新人王を同時受賞した。当時は筋肉増強剤全盛で、カージナルス・マグワイア、カブス・ソーサらによる一発に頼った大味な野球が主流だった。
そこに機動力を駆使するスピードとスモールベースボールを持ち込んだことが球界やファンに衝撃を与えた。しかし、04年にジョージ・シスラーの257安打を抜く262安打のシーズン最多安打記録を更新しながら、MVP投票では7位に終わり、2度目の栄誉を手にできなかった。
大谷にしても、かつてのイチロー同様、ルース以来のリアル二刀流として全米に衝撃を与えたが、実質2年目の今季は昨季ほどの新鮮さがなくなったこともあり、記者や選手からの支持が得られなくなったようなのだ。