“世紀の誤審”で批判浴びた技術委員が明かす 米国に敗れた日本が「0.01」差で準決勝に進んだ顛末
■渡米直後に緊急会議
技術委員として渡米した直後、リーグ戦の順位決定方法について深夜に緊急会議をしたことも忘れられない。
大会創成期でルールは不完全だった。例えば韓国は1次ラウンドから唯一、6連勝して準決勝に進んだが、2戦2勝していた日本に負けて敗退。準決勝まで同一チームと最大3試合を戦う異例の方式も議論を呼んだ。
技術委員として、大会前に電話会議で球数制限や球数による登板間隔などのレギュレーションについて話し合ったが、4チームがグループごとに戦う2次ラウンドでは、3チームが1勝2敗で並ぶことまでは想定していなかった。
「今では考えられないことですが、たまたま盲点になっていました」と苦笑いを浮かべて、こう続ける。
「順位決定の方法はいろいろあるにせよ、私は『失点率』(失点を、守った総イニング数で割ったもの)にしませんか、と提案しました。五輪で採用されているルールだったからです」
この決定が図らずも日本の世界一をアシストすることになる。2次ラウンドで日本、米国、メキシコの3チームが1勝2敗で並んだものの、日本は失点率の差で準決勝に進出した。米国との差はわずか「0.01」。王監督が涙を流して喜んだといわれている。