多くの世界王者を育てた日本ボクシング界の名伯楽・米倉健司
米倉健司(2023年4月20日没 享年88歳)
自身もボクサーだったが、むしろ、ヨネクラジムの会長として多くのボクサーを育てたことが記憶されるべきだろう。
世界王者だけでも柴田国明、ガッツ石松、中島成雄、大橋秀行、川島郭志の5人を輩出した。井上尚弥は孫弟子になる。
この中のガッツ石松と私は対談したことがある。『俳句界』の2017年7月号でだったが、ガッツをボクサーとして知っている人も少ないのではないかと思ったので、
「いまは役者だと思われているのでは?」
と問いかけると、彼も、
「ああ、そうですね。”OK牧場”とか言ってるバカなタレントだと思っている人が多いんじゃないですか」
と答えていた。
最初にガッツが世界チャンピオンになった時の相手はメキシコのロドルフォ・ゴンザレスで、当時、無敵のボクサーだった。ガッツが勝つと思っていた人はほとんどいなかった。
「1%くらいだったんじゃないですかね。 三流ボクサーだけど、ガッツ石松というボクサーの中に、テレビ局とか、ジムの会長さんとか、何か魅力を感じていたんでしょうね。 だから、次から次へと大きな試合を組んでくれたわけです」