三笘薫、田中碧、権田修一、板倉滉をカタールW杯に輩出した“街クラブ”の秘密と4人の原点
田中碧「泣きながら、もっと難しいプレーがしたい」
スペイン戦の決勝弾の後に、三笘と田中が抱き合いながらピッチ上でゴロゴロ転がり、喜びを爆発させているシーンを見ながら、澤田代表は初めて田中と出会った時のエピソードが鮮明に蘇った。
「新小学1年生を対象に体験会を毎年行うのですが、中には初めてサッカーボールに触れる子供もいます。なので最初は簡単なメニューから消化していくのですが、隅っこで泣いている子供が目に入りました。うまくボールが扱えなかったり、両親の姿が見えなくなって泣き出す子供は毎年います。近寄って『どうしたの?』と聞いたら、『こんな練習はつまらない。もっと難しいプレーがしたい』と涙をこぼしながら訴えてくるではありませんか。長くサッカーに関わっていますが、あんなに驚いたことはありませんでした。入団してすぐの試合中にも仰天させられました。試合が始まって監督、コーチは相手チームの選手の技量、戦い方を見極めて選手に指示を出すのですが、キックオフから1分もすると田中がベンチに向かって大きな声で『監督! コーチ! ○番の選手はうまい! ○番の選手はマークした方がいい!』と指示を送ってくる。いつも『それってオレたちの仕事なんだけどなぁ~』と苦笑いしたものです」