三笘薫、田中碧、権田修一、板倉滉をカタールW杯に輩出した“街クラブ”の秘密と4人の原点
三笘薫「突出していた状況判断能力」
2022年カタールW杯で森保Jはドイツ、スペインのW杯優勝経験国を撃破して16強入り。日本中を熱狂の渦に巻き込んだ。中でも最大のハイライトだったのが、スペイン戦後半6分の「三笘の1ミリ」から生まれた決勝弾だろう。そのスペイン戦に神奈川・鷺沼の小学生サッカークラブ「さぎぬまSC」出身の4選手が、同時にピッチ上で躍動した。決勝弾をお膳立てしたFW三笘薫(英プレミア・ブライトン=25)、ゴールに押し込んだMF田中碧(独ブンデスリーガ2部・デュッセルドルフ=24)、CBとして守備陣を統率したDF板倉滉(独ブンデスリーガ1部・ボルシアMG=26)、そして最後尾からチームを鼓舞し続けたGK権田修一(J2清水=34)だ。彼らを小学生時代から見続けている「さぎぬまSC」代表の澤田秀治氏(64)に4人の原点について聞いた──。
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スペイン戦での三笘アシスト-田中ゴールに日本ベンチも狂喜乱舞しながら、走り寄ってくる殊勲者の三笘と田中を待ち構えた。が、三笘の折り返しがゴールラインを越えたのでは、と「VAR判定」が入った。
結果的にゴールが認められたわけだが、ジャッジが出るまでの間に三笘が森保監督にこう囁いたという。
「森保監督に『(僕からは)出ているように見えました』と伝えたと聞いた時に『あぁ~三笘らしいな』と思いました。三笘というのは、小学生の時点で沈着冷静なタイプでしたからね。同期生に能力の高いストライカーがいました。彼が相手ゴールに向かうとトップ下の三笘は、3~5メートルほど背後から追走していきます。そして彼がボールを失った瞬間、奪取のための動きを見せて奪うとカウンター攻撃の起点となり、奪えなかった場合は素早く自陣に戻って守備陣形を整えるのです。ベンチで隣に座っているコーチに『プレーのレベルも高いけど状況判断の能力、攻守の切り替えのスピードは、とても小学校低学年とは思えない』と感心しながら話しかけたことを思い出します」