豊昇龍が北青鵬を攻略した叔父・朝青龍譲りの「まわし切り」
夏場所は4場所連続休場明けの横綱照ノ富士が優勝し、大関陣は貴景勝がかど番を脱して霧馬山改め霧島の昇進も決まるという、日本相撲協会にとっては最良の形で終わった。
上位だけでなく若手も注目された。入幕2場所目、21歳の北青鵬は身長204センチ。長身と長い手足で、対戦相手や観客を驚かせた。
4日目は竜電にもろ差しを許して中へ入られ、自分は右上手だけ。左はだらりと下げ、足をそろえて突っ立ち、攻めあぐむ竜電を上手で投げつけた。8日目は朝乃山を右下手で振り回して転がしている。「規格外」と騒がれ、本人も「相撲の概念をぶっ壊しつつあるんじゃないですか」と威勢がよかった。
東前頭11枚目で10日目まで2敗の北青鵬を、審判部は役力士と当て始める。旋風が続くかと注目される中、11日目の若元春も棒立ちになられて攻めあぐみながら、強い足腰でうっちゃった。
12日目は豊昇龍が挑戦を受けた。左を差して腰を引いたのに、やすやすと右上手をつかまれ、館内がどよめく。だが、ここから左下手を離して相手の右脇を押し上げ、つくった空間に頭を入れて伸び上がり、上手を切ってみせる。あとはつかみ直した左で出し投げを打ち、送り出した。