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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大リーグ機構の国際戦略“本当の思惑”…4年ぶり「ロンドン・シリーズ」2試合11万人と活況

公開日: 更新日:

■高額の年俸を抑制

 大リーグがそれまでの154試合制から162試合制に移行したのは1961年のことである。それ以来、現在まで続く162試合制の変更の可能性を指摘し、「実現が容易な選択肢」と発言するマンフレッドの姿は、機構にとって十分な経済力のある国で行う公式戦の意味の大きさを示している。

 もちろん、試合数の削減はマンフレッドが指摘するほど簡単なものではない。

 現在の大リーグの選手の契約は162試合制を前提になされている。それが154試合となれば、経営者側は当然のように年俸の水準を、試合数の削減と同じ5%程度減額するよう主張することになる。

 こうした展開は明らかなだけに、もし機構がコミッショナーの談話の域を超え、正式な案として試合数の削減を提起すれば、選手会が強硬に反発することは必至である。

 マンフレッドは就任時にも試合数の削減を提案しながら反対されている。それにもかかわらず「試合数を削減すれば北米以外での公式戦も行いやすい」と発言する背景には、北米における野球人口が減少しており、野球が普及していない地域を開拓しなければ、やがては優れた選手の獲得に悪影響が生じるという懸念がある。

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