無期限活動停止をたった5日で解除…日大に求められるのは学生スポーツへの毅然とした姿
読売巨人の創始者、正力松太郎の「巨人軍は紳士たれ」という遺訓を思い出す。正力の他界は1969年秋、「黒い霧事件」と呼ばれた八百長スキャンダル発覚の直後だった。正力は戦前にプロ野球を旗揚げしべーブ・ルースらを招いて全国興行もやった。
しかし、戦後に至っても野球は東京六大学で、プロは金目当ての「職業野球」と見下された。試合中にビール瓶どころか一升瓶が投げ込まれたと豊田泰光さんに聞いたことがある。今では考えられないほどヤクザな世界だった。
「紳士たれ」は、いまの社会的地位を築くまでの道程を忘れるな、野球人にはそれを守る連帯責任があるとの戒めだ。
いまや米国一というアメリカンフットボールの人気は、70年にABCテレビが企画した「マンデー・ナイト・フットボール」から始まった。アメフトは疑似戦争ゲームといわれ暴力的なイメージが強く、特にポストベトナム期の女性の支持が得られなかった。そこで審判の権限を強めるルール改正、暴力シーンを排除した映像アングルの工夫などで、徐々にいまの地位を得たのだ。