無期限活動停止をたった5日で解除…日大に求められるのは学生スポーツへの毅然とした姿
日本大学アメリカンフットボール部の不祥事が波紋を広げている。
部員の大麻所持をめぐり、大学から警察への報告が遅れ、無期限活動停止処分をわずか5日で解除……5年前の危険タックル事件からの体質改善を誓っていただけに、世間の失望は大きい。
日大は学生数約7万5000人、全国に26の付属高校があり、現在進行中の甲子園大会にも傘下4校が出場している。これだけの巨大組織なら過ちも起きるだろうが大麻1本の背景には薬物蔓延への危機感もある。
犯罪は司直に委ねるとして、日大には学生スポーツへの毅然とした姿勢を示して欲しい。個人の責任に限定した処分解除の判断からは大学のスポーツ観は見えてこないのだ。
少子化に伴う定員割れでスポーツ推薦枠が膨らみ、大学の中には200人も300人も部員を抱える運動部がある。高校野球や箱根駅伝に顕著だが、我が国の学校経営におけるスポーツの位置付けは曖昧だ。戦前戦後の学制改革に沿った普及過程で、大会運営は常に新聞社の全国紙化とリンクしており、批判が十分に介在・機能しなかった恨みがある。