吉田輝星の弟擁し6年ぶり夏出場 金足農の「強さと覚悟」を旋風巻き起こした名将が明かす
「準優勝した18年もそうでしたが、金農の伝統である守りからリズムをつくり、バント、スクイズの小技を効果的に決める。これが金農の強さです。他校は肝心なところで小技を仕掛けることができなかった。野球は1点でも多く取れば勝ちですから」
■「吉田大輝がいる3年で甲子園へ」
嶋崎元監督は昨夏も1カ月間、部員とともに汗を流し、守りと小技の極意を伝授した。昨秋は県大会で優勝し、東北大会ベスト8に進出。今春は県大会で初戦敗退したものの、チームは着実に力をつけている。
「大輝くんが在籍する3年の間に甲子園に行くことができなければ、全国の農業高校は一生、甲子園に行けない……それくらいの気持ちでいました」(嶋崎元監督)
農業高校の現状は厳しい。文科省の高等学校学科別生徒数・学校数(23年5月度)によれば、農業系の比率は全体の2.4%にとどまり、同系学科を設置する学校は年々減少の一途をたどっている。
輝星フィーバーに沸いた18年以降、低迷した時期もあった。一昨年には上級生による下級生への暴力事件が発覚。野球部は大いに揺れたものの、昨年、大輝が入学したことも追い風となり、輝きを取り戻した。