柔道ウルフ・アロン「誤審」「不可解判定」「AI審判」「やらせ疑惑」をとことん語る
ウルフ・アロン(28)柔道団体銀メダル 男子100キロ級【第3回/全3回】
パリ大会の柔道では審判の「誤審」「不可解判定」を巡る大騒動が巻き起こった。AI審判導入を訴える声もある。フランスとの団体決勝戦の出場選手を決めるデジタルルーレットでは90キロ超級が選ばれ、斉藤立と五輪3度制覇のリネールが戦った。場を盛り上げるための「やらせ」だと物議を醸したが、選手としてどう見ていたのか。
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──個人戦の敗者復活戦で、相手の“内股すかし”で一本負けを喫した場面、シェラザジシビリ(スペイン)が内股を仕掛けた際に頭から畳に突っ込んだように見えましたが……。
「なんか突っ込んだかなというふうには思いましたが、そこはあんまり気にしていません。僕が投げられなかっただけですから」
──不可解な判定とは思いませんでしたか?
「別に思わなかったですね。やっぱり審判もあの場でジャッジをするプレッシャーは大きいと思いますから。審判も人間。普段と同じ試合の気持ちでいけるかというと、それだけの重圧があるんじゃないかと。選手だって普段はやらない反則を犯してしまうこともある。練習の中では脇固めはやらないと思っていても、試合で不意にやっちゃうみたいな。五輪のような大舞台ともなると、なおさらそういうところに目が行きがちになる部分もあります。誤審がなくなるに越したことはないですし、ジャッジに関しては継続して突き詰めて、いろんな方法を試したり、精査したりする必要はあると思う。選手が試合で間違った技をやらないように突き詰めていくのと同じです」
──ジャッジに関して改善すべき部分はありますか?
「審判はスローモーションも見て判断していると思うんですけど、一連の動作をスローで見ると、良くも悪くも見え方が少し変わったりするでしょう。あとは、カメラの台数を増やして全ての角度から撮るのも手だと思います」
──判定にAIを導入すべきとの意見もあります。
「AIに頼り過ぎると、面白みがなくなっちゃうのかなと思っている自分もいます。言葉にするのは難しいですけど、審判って試合の流れをつくるために、『指導』を出すタイミングを結構考えてます。一番初めの両者指導は最初の20秒くらいで来たりしますが、(反則負けとなる)3つ目の指導は結構待ったりもする。AIが判定したら、数秒で指導が入って、指導、指導で終わりとなって、たぶん試合の流れができないと思います」