【新連載】星野監督は講演会でいきなり「おまえはクソ生意気らしいから野村さんと全然あかんかったんやろ!」
同時に個人的に星野監督に呼ばれ、こう通達されたのだ。
「好きなようにさしたるから、やってみろ」
考えるより感性を大事にしたい僕は、野村前監督の「ID」という名のデータを詰め込む野球は性に合わなかった。イヤイヤやっているから結果も出ず、前年までは二軍で油を売る日々が続いた。
星野監督が講演会で言ったように、あの当時、名将の誉れが高かった野村前監督の言うことを聞かない選手は僕以外おらず、生意気なのは間違いなかった。人から指図されるのが嫌で、放っておいて欲しかったのだ。「好きにやれ」は待ち望んだ言葉のはずなのに、同時に怖さが襲ってきた。星野監督はずっと僕をにらんでいた。
「その代わり、ダメやったら自分でやめろよ! 俺にクビって言わせるなよ! 分かってるよな?」
そう言われたわけではないのだが、闘将の目がそう語っていた。
自分の好きなようにやって結果が出なかったら逃げ場がない。もう「やめます」って自分から言うしかない。初めて野球をやめないといけないという恐怖心に他ならなかった。
そして始まった春のキャンプ。僕は周囲が驚く行動に出る。