【特別寄稿】松崎菊也 日本一のひねくれものが教える「大谷翔平」と「悪の帝国ドジャース」の楽しみ方
ガキの頃、日本全国「巨人大鵬卵焼き」と言われた時代、私は「長嶋柏戸ギョニソ」だった。どんだけ巨人が勝っても長嶋が打たなきゃだめなのだ。どんだけ大鵬が強くても千秋楽の横綱決戦で大鵬を柏戸が電車道で吹き飛ばさなければだめなのだ。弁当は卵焼きなどぜいたくでギョニソでなければだめなのだ。
よって私は巨人ファンなんかではなかった。長嶋現役最後の日はテレビの前に正座して泣いたが、監督をやろうが終身名誉監督になろうが巨人には熱狂しなかった。「巨人軍は永久に不滅です」も長嶋が言うから「そうなんですか?」と思うが、カネで中古を買い漁るサマは永久にフケツだった。
長嶋が心血を注いだ松井秀喜がヤンキースに入ってワールドシリーズのMVPを取った時は応援したが、ヤンキースファンにはならなかった。
大谷翔平が日ハムに入ったから日ハムの主催試合を全中継するGAORAと契約して見ていたし、エンゼルスに移ればNHKBSで見続け、球団からの定期メールなんか今でも届くが開けようとは思わない。トラウトがどうなろうとファンではないし全部英語だし、どうせ読めねえ。ジャバ・ザ・ハットみてえなツラしたGMもオーナーのメキシコ人富豪も好かん。
WBCでアメ公をやっつけて熱狂したのは、翔平が同僚のトラウトを三振に打ち取ったからにほかならぬ。だから現在、ドジャースの試合を見ているのではない。孫とも思う翔平の活躍を見ているのだ。50-50を達成した時は熱狂し、今オフはもう10回以上録画を見直しては熱狂した。
「ヒリヒリしたポストシーズンを過ごしたい」と言ってパドレスを打ち破り、メッツを粉砕し、ワールドシリーズへ出たら熱狂し、勢い余って左肩を脱臼した時は「何をやってるのだ!」と叫び、次の試合も出ると言ったら、休んでくれ、無理をするな、とオロオロ歩いた。孫が3度目のMVPを取れば、記者協会主催のニューヨークヒルトンの晩餐会中継を深夜に至るまで各局くまなく探し回り、ようやく録画予約したが、ロスの火事に気を使って出席しないとなったら中継をすっぽかしやがったフジテレビに唾を吐きつけてやったが、その晩餐会に孫がビデオ出演して英語でスピーチしたユーチューブは繰り返し見て拍手した。