「大谷翔平バブル」で動いた超巨大マネーの全貌…MLBは日本開幕シリーズでこんなにボロ儲けしていた!
小林至氏(東大→ロッテ→現桜美林大学教授)
カブスとドジャースの開幕戦「東京シリーズ」が大盛況のうちに幕を閉じた。大谷翔平(30)をはじめとする5人の日本人メジャーリーガーの凱旋で、日本中が大フィーバー。開幕2試合はもちろん、巨人と阪神とのプレシーズンマッチ、公開練習のチケットまで即完売で、関連グッズもバカ売れした。球場や街中はドジャースの帽子をかぶり、大谷のユニホーム、Tシャツを着たファンであふれ返ったが、MLBは一体、日本からいくら吸い上げて帰ったのか。元プロ野球選手でスポーツ経営学の専門家・小林至氏に聞いた。
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──小林さんは今回の日本開幕シリーズを通して、MLBが100億円の収入を得たと試算されている。
「今回の開幕シリーズはカブスがホームです。レギュラーシーズンでのカブスの1試合当たりのスタジアム収入(チケット、物販、飲食、広告看板)は約6億円ですから、MLBは開幕戦ということも踏まえて、1試合7億円から8億円、2試合で15億円前後でカブスから興行権を買い取ったと推定します。これをMLBが読売新聞に、巨人と阪神とのプレシーズンマッチを含めて30億円くらいで売却したとみています。この開幕シリーズだけで22社ものスポンサーがつきましたし、それにプラスしてグッズのライセンス収入がある。グッズは定価の12%がライセンス料としてMLBに入る仕組みです」
──仮にTシャツ1枚7000円だとすれば840円、1枚2万円のユニホームなら2400円がMLBの取り分ということですね。大谷のTシャツ、ユニホームが飛ぶように売れました。
「全国に大谷人気が波及するというのは、米国にはない現象です。MLBはフランチャイズのテリトリー権が非常に強く、テリトリー外でビジネスをしてはいけない規定がある。例えばドジャースも米国でのマーケットはロサンゼルスエリアだけ。東海岸で野球に興味のない人に大谷翔平のことを聞いたら、大半の人が知らないと思います。これは大谷選手が米国で人気がないということではなく、MLBと各球団が結ぶ『エージェンシーアグリーメント』という規定があるためで、全米で大谷をフィーチャーするわけにはいかない。そう考えれば、MLBにとって国内市場は頭打ちです。一方、日本は米国の西部開拓と同じ、フロンティア。誰でも手がつけられるマーケットで、だからこそMLBにとってもドジャースにとっても、大谷を旗頭とした日本の市場は大きい。今回の開幕シリーズに22社のスポンサーがついたと言いましたが、ドジャースは昨年、ローカルマーケットで120億円もの日本スポンサーがつきましたから」