ドジャース大谷の「産休取得」はNPBの重い腰を動かす契機になるか…4年前には「慶弔特例」が立ち消えに
一般社会同様、「男は仕事」という旧態依然とした風潮
選手会はNPBに父親リストの制度化を働きかけていくとしたが、果たして実現するのかどうか。選手会は4年前にも冠婚葬祭や出産立ち会いで登録抹消した場合に短期間で復帰できる「慶弔特例」の創設をNPBに要望したものの、その後立ち消えになっているのだ。
「石川柊は是が非でも美奈夫人の出産に立ち会いたかった。夫人は昨オフのFA交渉に同席したうえ、移籍先も2人で話し合って決めたくらいゾッコンですから。とはいえ、登録を抹消されれば最低でもローテを1回飛ばすことになり、チームに迷惑がかかる。石川柊もメジャー経験者の吉井監督でなければ『立ち会いたい』とは言い出せなかったでしょう。NPBでは助っ人選手も出産のために母国に一時帰国することを厭い、日本に家族を呼んで出産するケースもあるほど。男性の産休、育休がなかなか定着しない一般社会同様、『男は仕事』という旧態依然とした風潮が根強いのは確かです」(球界関係者)
MLBで「父親リスト」が創設されたのは2011年。米国の連邦法では有給による産休は認められておらず、州ごとに規定があるため、同じ4大プロスポーツのNFL、NBA、NHLに先駆けて創設された。MLBは年間162試合と圧倒的に試合数が多いことも、制度化を後押しした。導入当初は選手が手を挙げづらい雰囲気もあり、14年にダニエル・マーフィー(当時メッツ)が初めて活用するまで3年を要したが、今では年間50人前後の選手が産休を取得している。
先日は一部スポーツ紙が、ラグビーのリーグワンが産休制度を規約に明文化する方向で動いていると報じた。大谷の産休取得がNPBの重い腰を上げさせる契機となるのか……。
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ロッテといえば日刊ゲンダイは昨年、ミスターマーリンズ初芝清氏のコラムを連載。そこには、当時では異例だった「出産立ち合い離脱」をした名選手についてのエピソードも収められている。
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