フランスで120万部、世界39カ国で翻訳出版 作家D・フェンキノス氏に聞く

公開日: 更新日:

 邦題は「ナタリー」だが原作のタイトルは「la delicatesse」、つまり、デリカシーである。繊細な、洗練された、思いやりのある、脆弱(ぜいじゃく)なマルキュスが持っているのがデリカシーなのだ。

「なぜ、こんなに売れたのかって、よく聞かれます。ここまで来ると正直、よくわかりませんが、ひとつの理由としてタイトルがあげられると思います。本が出た頃は世界金融危機が襲いかかり、大変な時期でした。人々は和みや優しさを求めていた背景があります。いまもフランスは何というか、野蛮になっている。世界中で競争が激しくなり、みんなが自分のことばかり考えている。デリカシーとは心遣いです。相手を居心地よくさせ、そうした時間をゆっくり味わってもらう。今は物事の流れが速すぎて、味わう時間がなさすぎますね」

 なるほど、だとすれば、この小説が多くの人の心に染み渡っていったのはうなずける。DVDの主演はオドレイ・トトゥ。超売れっ子の女優だ。
「強さ、かわいさを併せ持っている。彼女でなければ映画はダメだと思いましたが、初めて作った映画に彼女が出てくれるなんて信じられませんでした」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭