「ネット依存症」樋口進氏
■「人とのつながりを満たしてくれるネット上のオンラインゲームは一度はまると抜けるのが難しい」
アルコールや薬物依存症の治療で有名な久里浜医療センターには最近、10代の若者と親が訪れることが多くなったという。そこの院長を務め、「ネット依存症治療専門外来」を始めた著者は、こう警告する。
「スマホばかり操作している夫に妻が耐えられず夫婦破綻になるケースもありますが、ネット依存症のほとんどは中学生、高校生であるのが特徴です。本人も周囲も、部屋にこもってゲームに熱中しているだけ、と高をくくって深刻に受け止めないことが多いのですが、成長段階にある彼ら、彼女たちに、将来どのような影響が表れるのか未知数であるだけに、問題は深刻です」
■今のゲームは昔のゲームとは様変わり
ある少年は、ネットのオンラインゲームに夢中になり、夕食のあとも一晩中やるようになった。朝は眠くて起きられず、学校に行けなくなり、昼間は眠って夜はゲームという生活に陥り、次第に、食事をする時間も惜しくなり、栄養失調になってしまった。