「蔦重の教え」車浮代氏
「江戸で20代の若者に戻ってしまった武村が出会うのが蔦重で、のちの世に名を残す絵師たちと親交を重ねながら、蔦重からは商売や人生の極意を学んでいきます。だから、現代人である武村と一緒に戸惑ったり驚いたりしながら、江戸を感じてもらえればうれしいですね」
ただの味噌汁と山盛りの白飯がとてつもなくうまいこと、風呂屋が混浴で女性の裸が見放題なことなど、随所に表れる描写の細かさは、江戸文化に詳しい著者ならでは。そして、何といっても見逃せないのが名プロデューサー蔦重の“教え”だ。
「革新的なことを次々とやってのけた蔦重からは、現代にも通じる成功哲学が学べます。本書は、蔦重節によるビジネス書としても読んでいただけると思います。巻末には、教えを箇条書きにしてまとめていますので、好きな教えの部分を繰り返し読んでいただくのもいいかもしれません」
たとえば、“人生は知恵比べ。考え抜いた方が勝つ”“三方向から見る目を持つ”など、印象深い教えが随所にちりばめられている。やがて主人公は、蔦重と絵師たちの生きざまを通して自分の人生を振り返り……。