「ミツバチ大量死は警告する」岡田幹治著
■パブコメが政府を動かした
だが研究が進むにつれて、人間の胎児の脳にも影響するなど、さまざまな危険がわかってきた。
「前の困難を克服したつもりが、新たな毒性があったわけです。人類っていうのは、それを繰り返しているんですね。ネオニコ系農薬は、家庭園芸用の殺虫剤など身近なものにも使われていますが、便利だからと安易に化学物質を使っていると、悲惨な結果をもたらします。便利さの陰にあるマイナスを忘れてはいけないのです。“原発ムラ”と同じように“農薬ムラ”が存在していて、国は時代遅れの検査しかせず、国民の健康を守ってくれません」
怖い話ばかりだが、希望もある。商品名ダントツというネオニコ系農薬の新しい使い方(収穫1日前まで使用)の認可申請がなされ、認可するために農水省も厚労省も農薬の残留基準を上げようとした。ところが、パブリックコメントに多くの反対意見が寄せられ、今年3月に再審議が決まったという。
「EUのように、疑わしいものは規制する方向になってほしいですね」
(集英社 760円)