「憂いなき街」佐々木譲著
■ジャズが全面に登場する“北海道警察シリーズ”第7弾
“北海道警察シリーズ”の第7弾。
シリーズにはBGMとしてジャズが流れているが、今回はそのジャズが前面に登場する。
北海道警機動捜査隊の津久井卓巡査部長は、当番明けに行きつけのジャズバー「ブラックバード」に立ち寄った。
そこでピアノを演奏していたのは安西奈津美。何年か前にCDを出しているジャズピアニストだ。しばらくジャズから遠ざかっていたが、この夏のサッポロ・シティ・ジャズへの出演を機に復帰を果たしたいという。ジャズ好きの津久井と奈津美は意気投合、急速に引かれていく。しかし津久井が奈津美の忌まわしい過去を知った直後、公園で女性の刺殺体が発見される。
捜査に当たった津久井は奈津美が何らかの関わりがあるのではないかと疑問を抱く。容疑をかけられれば奈津美のミュージシャン生命は絶たれてしまう。しかし自分では表立っての捜査はできない。そこで信頼する佐伯宏一警部補に、別動捜査を依頼する……。
愛する女への思いと警官としての責務とのはざまで苦しむ男の哀切さが胸を打つ、シリーズ最新作。