「屋久島発、晴耕雨読」長井三郎著
屋久島で生まれ育ち、故郷の自然を子孫に残す活動に携わってきた著者が、その思いと島の暮らしをつづったエッセー集。
かつて風呂やかまどで薪を使っていた時代、台風の後の海辺では山から大量に流れだし打ち寄せられた木材の争奪戦が繰り広げられたという。そんな思い出を語りながら、風呂をたく炎を眺めていると「つつましく生きることが、人の務めなのだということに」気づかされると記す。その他、思いつきで始まった元日の島1周100キロウオーク顛末記や、農家を志し土地の取得に明け暮れた日々のことなど。自らの子供時代の思い出をふんだんに盛り込みながら離島暮らしの実際を伝える。
(野草社 1800円)